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GPS時刻のロールオーバー

カーナビとして有名になったGPSですが、位置情報の検出には正確な時刻情報が欠かせません。GPSの衛星は非常に精度の高い時計を積んで世界の空をくまなく回っている時刻発信衛星と言ってもいいくらいです。

しかしながらそのGPSが使用している時系はUTCとは別の時系でUTCの1980年1月6日(日曜日)の00:00:00を00:00:00としてスタートさせたUTCと同じ長さの1秒を刻む時系です。GPSは開始以来UTCでは挿入されてきたうるう(閏)秒を挿入していませんので2003年時点でUTCと10数秒のずれがあります。この時系をGPS時系、あるいはGPS時刻などと称しています。

GPS時刻はGPS衛星から送信される航法メッセージのなかで、
    1)週番号  : GPS時刻がスタートしてからの通算の経過週
    2)週内番号 : 日曜日を 0 とし、土曜日の 23:59:59 までの経過秒数
の2つに分けて2進数で送信されています。

このうち 1)の週番号を表現するビット数が 10ビットであるために、週番号1023週の翌週が 1024週にならずに 0週に戻ってしまいます。
このことを「GPS時刻のロールオーバー」と称しています。
1年は約52週なので、1024週を52週で割ると、約 19.7年。GPSがスタートしてから約 19.7年毎にこのロールオーバーがやってきます。

西暦2000年問題と並んでGPSの1999年問題があったことをご記憶されている方もおられると思います。1999年の8月のある日一部のカーナビで動作が止まってしまう等の現象が報告されました。これが最初のGPS時刻のロールオーバーに起因することでした。プログラムを工夫することで、当面のこの問題は回避できるのですが、開発初期のカーナビではその他の膨大な開発案件に紛れて十数年後に起きるであろう不都合を処理し忘れたのでしょう。2000年問題にしろ、1999年問題にしろ、10年か長くても20年サイクルでしか機器のライフサイクを考えていないエンジニアにとって頂門の一針であろうと思います。

GPSを時刻基準として使用する場合、UTC時系とGPS時系のズレ(オフセット)を補正する必要があります。幸いにも航法メッセージの中にUTCとのズレを示す値が有り、閏秒についても、実施予定が航法メッセージにより報知されますので、受信機から出力されるUTC情報は、正確なものとなります。

尚、現時点の弊社のGPS受信機では、2040年12月31日まで、正確なUTCを出力できますが、それ以降は停止しますので使用できなくなります。永遠に続く時刻と有限なリソース(資源)でしか物を表現できないエンジニアとの戦いはどこまでも続きます。


GPS: Global Positioning System
UTC: Coordinated Universal Time

                                                               2003年7月20日

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